ラボ

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2023.10.24

シルクスクリーン 多色刷りの位置合わせのコツをご紹介!~②トンボ編~

2色刷りをしたロゴマーク

前回の記事では、シルクスクリーンの多色刷りの位置合わせコツとして、クリアファイルを使った方法をご紹介しました。

ただし、以下のような条件下には適していないという点もお伝えしました。

・版を固定できない環境
・厚手の素材に刷るとき
・クリアファイルよりも大きいものに刷るとき
例:大人用のTシャツ、トレーナー、マチの付いた袋物(バッグ、巾着)、など

そこで、今回は上記の条件でもできる、〈トンボ〉を使った位置合わせの方法をご紹介します。

トンボで位置合わせをする方法

必要な道具

通常のシルクスクリーンの道具と、〈透明のセロハンテープ〉をご用意ください。

〈STEP1〉多色刷り用のトンボ入り原稿を作る

まずは、色ごとの原稿を用意します。ここでのポイントは、版を重ねるときの目印として、データごとに「トンボ」を入れること!トンボを重ねて1色ずつ印刷をすることで、デザインが完成されます。

トンボを入れるうえで、注意点が3つ!

  ① トンボは各データ同じ位置、同じ形状、同じサイズで入れてください。
 ② トンボは、データの四隅または上部分だけでOKです。(センタートンボも不要)
 ③ デザインから1~2㎝ほど余白を開けて配置してください。

今回は、こちらの2版のデータを用意しました。下画像の〈版1〉と〈版2〉を2色刷りして、「仕上がりイメージ」のデザインを作っていきます。

Tシャツくんのミドルフレームに、上下に配置をして製版しました。トンボも一緒に製版してくださいね。

1枚のスクリーンにまとめて配置する場合、しっかりと間隔をあけると刷りやすくなりますよ。

このようなレイアウトで製版しました

またこのときに、トンボ付きの仕上がりイメージを、印刷する素材の数量分、原寸コピーをしておいてください。(STEP2で使用します!)

〈STEP2〉印刷する位置を決める

次に、STEP1で原寸コピーした仕上がりイメージを使って印刷する位置を決めていきます。

印刷をする位置を決めていきます

位置が決まったら、画像のようにマスキングテープで貼り付けてからトンボ部分だけを残して他の部分を切り落とします。

位置が決まったら、テープで固定
トンボだけ残します

印刷する素材がいくつかある場合は、あらかじめすべてに貼っておくとスムーズです。

〈STEP3〉版のトンボにセロハンテープを貼る

スクリーン上のトンボの穴を、裏表両面からセロハンテープでふさぎます。こうすることで、インクが通るのを防ぐだけでなく、スクリーンの下が透けて見えるのでトンボの重なり具合が確認しやすくなります! マスキングテープでも代用できますが、やはり「透けて見える」という点でセロハンテープがおすすめです。

インクが通らないように、セロテープ隠す
トンボ四か所をセロハンテープで隠しました

ここまで準備ができれば、あとは簡単に刷ることができますよ!

〈STEP4〉1色目の印刷

印刷する素材に中敷きをセットしてから、1色目を刷っていきましょう。

素材に貼り付けたトンボに重ねるようにして版を置きます。

セロハンテープが透明だから、素材に貼ったトンボが透けて見えます

位置が固定できたら、インクを乗せて1色目を印刷します。たくさん刷る場合は、セロハンテープの透明度をキープしたいのでなるべくセロハンテープの上を避けてインクを置いてくださいね。

インクを置いて、刷って、ゆっくり版を持ち上げましょう

できました!ここで、素材に貼っているトンボをうっかり剥がさないよう要注意です!最後の印刷が終わるまで貼ったままにしておきましょう。

そして2色目に移るまえに、版の掃除もお忘れなく!

〈STEP5〉2色目の印刷

1色目に印刷したインクがしっかり乾いたら、2色目にいきましょう!

やり方は1色目と同様。まずはトンボを重ねて印刷する位置を固定します。

2色目の位置合わせはこんな感じ

位置合わせができたら、版にインクを乗せて、印刷していきます。

インクを置いて、刷って、ゆっくり版を持ち上げましょう
2色刷り、出来上がり!

どうしょう!ズレることなく、きれいに重なりました!3色以上刷る場合も、同じ工程で刷ってくださいね。

最後に、素材に貼っていたトンボを剥がしてからしっかりと乾かして完成!布地の場合はアイロンをするとより定着します。

セロハンテープについたインクは拭き取れる

万が一セロハンテープの上にインクが付いてしまってもティッシュや布で簡単に拭き取ることができます。

時間がたって乾いてしまった場合は、水で濡らした布で拭き取ればOK。

セロハンテープについたインクは拭き取れます

まとめ

クリアファイル編とは違い、原稿のつくり方がポイントになるトンボ編、いかがでしたか?

フレームを固定する道具がないときや、スウェットなど厚めの素材に刷るときにはとても便利な方法です。

印刷する状況によって、やりやすい方法をえらんでくださいね。

多色刷りはどうしても手間と時間がかかりますが、そのぶん完成したときの感動はひとしお! 慣れてきたら色パターンを変えてみたり、あえて少しズラすことで味を出してみたり、手刷りならではの良さを楽しんでください!

〈トンボを使った位置合わせ〉方法はYouTubeで動画編も公開中!