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2024.4.5

シルクスクリーン多色刷りに挑戦!色は重ねる?抜く?データの作り方も。

シルクスクリーンにおいて、複数の色を使ってプリントすることを「多色刷り」と言います。

慣れてきたらぜひ挑戦したいですよね!

ポイントになってくるのが、〈デザインデータの作り方〉〈位置合わせ〉です。
今回はその2点を中心に、多色刷りのやり方をご紹介していきます。

◎目次
・多色刷りの方法2つ
・デザインデータの作り方
 └ 仕上がりは「ノセ」?「抜き」?
 └ データのつくり方
・色の重なり方の違い
 └ インクの種類による違い
 └ 刷る順番による違い
・多色刷りのプリント手順~位置合わせの方法~
 └ プリントの手順
 └ 位置合わせの方法
・まとめ

多色刷りの方法2つ

多色刷りの方法は2つ。

① 色ごとに版を分けてプリントする方法(「版分け」といいます)

② 色分けしたい箇所を隠しながら、1版でプリントする方法

①色ごとに版を分けてプリントする方法(版分け)
②色分けしたい箇所を隠しながら1版でプリントする方法

分割しやすいデザインの場合は②でも多色刷りが可能ですが、複雑なデザインの場合は①のように版を分ける必要があります。

ここでひとつ裏技!版分けの場合でも、図案の大きさによっては1つの版に複数の図案を配置してもOK!
スクリーンの節約にもなるのでオススメです。
刷るときにスキージが隣接の図案に干渉してしまう場合は、マスキングテープで隠すなどして工夫してみてくださいね。

1つの版に複数の図案を配置してもOK!

次からは、①版分けをして多色刷りをする場合について、詳しく解説していきます!

デザインデータの作り方

デザインデータの作り方は、仕上がりイメージによって異なります。

・仕上がりは「ノセ」?「抜き」?

2色目(きいろ)を「ノセ」でプリント
2色目(きいろ)を「抜き」でプリント

お花(ミモザ)のイラストを、ソフトの「みどり」と「きいろ」で2色刷りした例です。
同じインクを使っていますが、葉っぱに重なっている部分の花の色の見え方が違いますよね。
これは、2色目を「ノセ」にするか、「抜き」にするか、という印刷方法の違いによるもの。

「ノセ」とは

インクの色を重ねて刷る方法。
用するインクの種類、色、刷り順にもよりますが、インクを重ねて刷った部分は、
下のインクの色に沈むことがあります。
位置合わせがそれほどシビアではないのでラクに刷ることができます!

「抜き」とは

インクが重なる部分を抜いた版でプリントする方法。
インクの色が混ざることが無く、思った通りの発色になります!
ただし、2版目を抜き部分にぴったり合わせる必要があるので位置合わせが少し大変です。

・データのつくり方

先程の、ミモザ2色刷りの例で見てみましょう。

「ノセ」の場合

「ノセ」2色刷り

全てのパーツを真っ黒に塗りつぶした原稿を作り、葉(みどり)→花(きいろ) の順で刷りました!
葉の上に花の色がうっすらと重なり、黄みどり色のようになりました。
シルクならではの色の重なりによる変化が楽しめます。

「抜き」の場合

「抜き」で2色刷り

重なる部分を抜いたデザインで原稿を作ります。
2色目も生地にダイレクトにプリントするので、思った通りの発色に◎

どちらの仕上がりにしたいかによって、適したデータを作成しましょう!

色の重なり方の違い

先述の「ノセ」の場合は特に、インクが重なったときの色の出方が気になりますよね?
色の出方は、インクの種類や、刷る順番によって違いがあります。

・インクの種類による違い

Tシャツくん水性インクの、リッチ・プレーン・ソフトで試してみました!

まずはソフトの重ね刷り。

「ソフト」インクで重ね刷り

1色目に刷ったインクの色の影響がくっきりと出ていて、インクが重なった部分は色が沈んでいます。

次に、プレーンインクで重ね刷り。

「プレーン」インクで重ね刷り

先程のソフトに比べると、影響は小さいように見えます。ただ、やはりうっすらと下の色が透けるような仕上がりになりました。

最後にリッチインクで重ね刷り。

「リッチ」インクで重ね刷り

ソフト・プレーンに比べると、リッチは下の色の影響を受けづらいことがわかりました。1色目の輪郭は透けていますが、色の沈みはそこまで感じられません。

〈インク関連記事〉
Tシャツくん シルクスクリーンインク全種ご紹介!水性・油性の違いも。

・刷る順番による違い

プレーンインクの「くろ(濃色)」「そらいろ(淡色)」の2色を使って、刷る順番を変えて刷ってみました。

1色目「くろ」、2色目「そらいろ」
1色目「そらいろ」、2色目「くろ」

同じインクを使っているにも関わらず、順番を変えるだけで全く異なった仕上がりになりました!

このように、濃色と淡色を重ねる場合は 〈 濃色→淡色 〉の順に刷ると、2色目の色が大きく沈むことがあります。
色の重なりを楽しみたいという場合は良いですが、極力重色による影響を抑えたい場合は、淡色から刷るなど順番を考慮してみましょう!

多色刷りのプリント手順~位置合わせの方法~

多色刷りのプリント手順

版ができたらさっそくプリント開始!・・・と言いたいところですが、
多色刷りにおいては、 位置合わせ (=プリントする位置を決めること)という重要な工程があります。

ざっくりと多色刷りの流れを整理すると、

① 1色目の位置合わせ
② 1色目、プリント!
③ 乾燥(+アイロン) 、 版のお掃除
④ 2色目の位置合わせ
⑤ 2色目、プリント!
⑥ 乾燥+アイロン仕上げ、版のお掃除

※3色以上ある場合、④以降を繰り返し

という手順になります。
むずかしいのは、④の2色目以降の位置合わせ!次の章では、HANDoオススメの方法をご紹介します。

・位置合わせの方法

クリアファイルを使う方法

工夫次第で様々な方法がありますが、フレームホルダーなどを使ってプリント位置を固定できる場合は、クリアファイルを用いて位置を合わせるのが便利!

クリアファイルを使って多色刷り!

データにトンボを入れる方法

版を固定できないよ!という方は、デザインデータにあらかじめトンボを入れる方法もあります。

トンボを使って多色刷り!

ただしこの方法は、プリントする素材に原寸で印刷したトンボを貼り付ける必要があるので、量産する場合は事前準備が少々手間になります。

多色刷りで大量生産したい場合は、Tシャツくん印刷機LL(商品はこちら)や、
フレームホルダー(ヒンジ等)を 使って、プリント位置を固定して刷ることをオススメします!

多色刷りの位置合わせについては、以下の記事でも詳しくご紹介していますので
ぜひ参考にしてみてくださいね。

まとめ

シルクスクリーンに慣れてきたら挑戦したい「多色刷り」。

データ作成と位置合わせが最大のポイントです。

多色刷りはどうしても手間と時間がかかりますが、そのぶん完成したときの感動はひとしお!
色パターンを変えてみたり、あえて少しズラすことで味を出してみたり。
手刷りならではの良さを楽しんでくださいね!


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